福岡高等裁判所 昭和26年(う)3229号 判決
所論Tの検察官に対する第一回供述調書によると、検察官において右Tの取調べにあたり、あらかじめ供述拒否権を告知していないことは所論のとおりである。ところで右供述調書を原審において取調べた被告人の同一検察官に対する同日附の供述調書と対比すると、その後者においては供述拒否権を告知しているのに拘らず、右Tに対しこれを告知しなかつたのは同人が少年であるため検察官において家庭裁判所を経由しなければ公訴の提起をすることができないため、同人を被疑者でないと誤認したことによるものと推認されるのである。しかし右Tが検察官の取調の際被疑者であつたことは記録上疑義を容れる余地がないので右検察官において供述拒否権を告知しなかつたのは明かに刑事訴訟法第百九十八条第二項に違反したものといわなければならない。しかし、記録上、右Tの検察官に対する供述が任意性且つ信用性のないことは全く認めることができないので同供述調書の作成につき前記法令違反があつても同調書が所論のように証拠能力を欠缺するものということはできない。